アトリエを選ぶとき、何を見ているか
「どうやってアトリエを選んでいるのですか」と聞かれることがよくあります。明確な点数表があるわけではありませんが、訪問のたびに確認していることはいくつかあります。断ったアトリエの数のほうが、取引を始めたアトリエの数より多い。その経験から見えてきたことを書きます。
生産量を自分で決めているか
最初に確認するのは、生産量の決定権がアトリエ自身にあるかどうかです。外部の投資家や大手小売との契約によって生産量が決まっている場合、品質の安定性が保てなくなることがあります。小さなアトリエが急に生産量を増やすと、素材の調達先が変わったり、仕上げの工程が省略されたりすることがあるからです。
素材の出所を答えられるか
使っている素材がどこから来ているかを、具体的に答えられるかどうかも重要です。「地元の農家から」「同じ地域の紡績所から」という答えが返ってくるアトリエは、素材の品質に責任を持っています。「サプライヤーから仕入れている」という曖昧な答えしか返ってこない場合は、慎重に判断します。
素材の出所が明確なアトリエは、素材が変わったときにも正直に教えてくれます。それが長い取引関係の基礎になります。
断ったアトリエのこと
以前訪ねたポルトガルのあるアトリエは、素材も縫製も申し分なかったのですが、翌年から生産量を3倍に増やす計画があると聞いて、取引を見送りました。その判断が正しかったかどうかは今もわかりません。ただ、当店の棚に並べるものは、作り手が自分のペースで作れている状態のものでありたいと思っています。
- 生産量の決定権がアトリエ自身にあるか
- 素材の出所を具体的に答えられるか
- 過去の取引先との関係が長期的か
- 訪問時に作業場を見せてもらえるか
- 価格の根拠を説明できるか
仕入れの基準は、これまでの訪問を重ねるなかで少しずつ変わってきました。変わらないのは、「自分が長く使いたいと思えるか」という最後の問いだけです。